猫街221b - Football Manager -

ゲーム、本、音楽や映画。そこに日常のささやかなできごとを絡め、物語仕立てに書いています。いまは「Football Manager」というゲームのプレイ日記が中心です。

猫毛連盟 ~ The Soft Hair League

きみは列車のなか。
ロンドン到着まで、あと30分ほど。
となりの席では、いつのまにか、猫さんがまるくなって寝息をたてている。
ついさっきまで、ノートPCにむかっていたのに。

車内は冷房がよくきいている。すこし肌寒いくらい。
そっと、そっと。
猫さんからPCを取り上げて、そのちいさなせなかに、洗濯したてのタオルケットをかける。
そなえつけのちいさな机にPCをのせ、猫さんのブログをひらく。
きみの監督としてのキャリアをつづったブログだ。
さいきん、ブログには正式な名前がつけられた。
その名も「The Soft Hair League(猫毛連盟)」。
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The Soft Hair League(猫毛連盟)

[にゃん月にゃん日にゃん曜日]

監督インタビュー(独占!)
ハイドのみんなに見送られ、電車の旅です、ゆーらゆら。
せっかくなので、キーボードをたたきながら、となりに座るきみにインタビューをこころみました。

「で、これからどうするんだにゃ」
ちょっと寝かせてよ。きのうあまり眠れなくて。
「オファーかなにかあるの?」
なにもないよ。
「つまり、かんぜんに無職ってこと?」
きっとすぐつぎの仕事がみつかるよ。
あああ、とうめいてあちきは頭をかかえる。
いや、ほら、まえに話したじゃない。どのチームの監督をしたいかって(「夢の町、夢の箱、ハードディスクを破壊せよ」参照)。
「うん。たしかこんな感じだったと思うけど」

・猫さんの希望
チャールトン・アスレティック
オックスフォード・ユナイテッド
ブライトン・アンド・ホーヴ・アルビオン
アーセナル
チェルシー

・きみ
チャールトン・アスレティック
バルセロナ
ビジャレアル
アーセナル

あのとき、げんじつてきな可能性もふくめていろいろ話し合ったよね。それで、猫さんに誓った。いつかチャールトンの監督になってみせるって。
「まさかこれからチャールトンの監督になるつもりなの?」
そうだよ。
「ときどきね」と言って、猫さんはため息をつく。「きみがひまわりのようにまぶしくみえるときがあるにゃ」
それはどうも。
「ほめてませんっ。ついこのあいだも、チャールトンに履歴書だしたでしょ。だめだったからいまここでこうしてるんでしょ」
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そこまで読んで、きみはPCから目をはなす。
採用されなかったときのくやしさ。そのときの、記憶、イメージ。
睡眠中の猫さんが、夢のなかでもぞもぞとうごきだす。
きみのこころに浮かんだイメージに、器用にキャプションをつけていく。

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「ストークがヒューズ監督を解雇」。
はじまりはこれでしたにゃ。
プレミア17位におわったストーク・シティが、マーク・ヒューズ監督をくびにしたのです。
後任のだいいち候補にあがったのが、ロベルト・ディ・マッテオ(「オフシーズン狂想曲」参照)。ディ・マッテオはそのときまだチャールトンの監督だったけれど、ストークへの関心をおおやけにしてしまいます。とうぜん、チャールトン側はそれに反発。
で、サンダーランドも巻きこんだすったもんだのすえ……。

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ディ・マッテオがストークの監督に就任」。
違約金約1億円、年俸約2億5000万円とのこと。
これでチャールトンの監督の座は空席となったですよ!

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チャールトンの[Apply For Job(応募する)]ボタンを押すとき、かわいそうなくらい手がふるえてたよ。
ハイドとくらべると、とんでもない規模の給与予算。練習設備もGoodの評価で、財政状況はsecure(安定)。若手を育成・ばってきするクラブ哲学も希望にぴったり。
チャールトンはしんけんに考えてくれるとのこと。「ファーストチョイスではない」とはいわれたものの、前回(わらいとばされた)にくらべておおきな進歩です。
そして、そして。

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だめでしたにゃ(涙)。
ある朝、ガーディアン誌のwebニュースを読んで知りました。けっきょく面接まですすめなかった。
チャールトンの監督に就任したのは、アイトール・カランカ。カランカは、モウリーニョレアル・マドリーの監督をしていたころの副官です。
年俸は約2900万円。契約は2018年の6月まで(うう、長い……)。
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「いい? こういうのはタイミングなの。めぐりあわせ、いわゆる『縁』なのね。こっちが希望しても、そのとき空きがないと応募すらできないでしょ。監督は各チームひとりなんだから」
でもさ、と言ってきみはあくびをする。長く続けるつもりもないのに、腰かけみたいなかたちで監督をやりたくない。ハイドのみんなをみて、あらためてそう思った。ずっと続けていきたいと思えるチームの監督をしたい。というか、眠い。もう寝る。とめてもむだです。
猫さんはきみのほっぺたをひっぱる。
「そういうことじゃないにゃ。人とひともそうでしょ。きみが『すき』と思っても、相手が『すき』と思ってくれないと、おつき合いできないでしょ。『すき』と思い合えるふたりでも、タイミングによっては、どちらかにお相手がいたり、おたがいにお相手がいたり、いろいろあるでしょ。かたっぽが転勤で土星に行かなくちゃいけなかったりとかさ」
むにゃむにゃ。転勤するなら月がいいな。
「うむー」と猫さん。「とにかく、きみは、きみを評価してくれて、監督として雇いたいと思ってくれるチームで働くの。それがどのチームなのか、それはきみが決めることじゃないの。この間就任したばかりのカランカさんがいきなりくびになるわけないでしょ。くびになるまで待つ? いつになるのかもわからないのに?  そのあいだ、生活はどうするんだにゃ。ロンドンにいくなら、この間対戦したダゲナム・アンド・レッドブリッジFCがあるじゃない。最優秀監督賞を受賞したジョン・スティルが引退して、ポストが空いた。ニュースで、後任の最有力にきみの名前があがってたよ。チャンスだよ。応募しなよ」
……また探すよ……アルバイト。
「ぷっはー」だんだん興奮してくる猫さん。「『いやあ、だんな、じつにりっぱな猫毛だ。どうです。猫毛の方だけに紹介できる仕事があるんです。片手間でできて、らくにかせげますぜ』みたいな、赤毛連盟的な展開なんてないのじゃ。……って、寝てるしっ」

もういいや。インタビューはおわり!
ロンドンで住むところを決めたら、すぐに就職戦線にほうりだしてやるですっ。

オフシーズのまとめ
はらがたってねむれないから、2015-16年シーズンのまとめをかんたんに書いておこうかな。

・2015-16 各国リーグ優勝チーム
プレミア……マンU   MVPマタ、得点王F・ジョレンテ(シティ)
リーガ ……バルセロナ MVPスアレス、得点王ネグレド(バレンシア)
ブンデス……バイエルン MVPラーム、得点王J・ブリアン(ハノーファー)
セリエA ……インテル  MVP/得点王テベス(ユベントス)

・2015-16 チャンピオンズリーグ結果
マンチェスターの両雄による同国対決。ユナイテッドがシティを4-1で下し、優勝です。
MVPはファン・マタ。得点王はシティのアグエロでした。ユナイテッドはCL、プレミア、キャピタルワンカップの3冠ですにゃ。

・おもて舞台をさる監督たち
3冠をおきみやげに、ファン・ハールは引退。後任はディエゴ・シメオネになりました。
もうひとり、偉大な監督が。アーセナルアーセン・ヴェンゲルがサッカー界から引退しました。後任は元オリンピアコス監督のミチェルです。

・日本人速報
香川真司が所属するドルトムントは9位。本田圭佑の所属するACミランは7位。両者ともCL/ELをのがしました。とくに香川は代表にもよばれず、クラブでもあまり出場機会がないという。能力値はたかいはずなのに、なんでだろう。うーむ。

むにゃ。
うーん。はらがたってまったく眠れないはず。むにゃ。
おっと、いまあたまがガクンってなったけど、おっとっと。
ねむくなんかないよ。むにゃむにゃ。
おっとっとっとー。
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車内アナウンスがユーストン駅到着をつげる。
立ち上がり、にもつをおろして、PCをしまう。
こんこんと眠る猫さんの身体を、はじめはそっと、しばらくしてからゆさゆさと揺らす。

さあ、おきて猫さん。ロンドンだよ!