新米監督と猫さん
イングランド北西部の都市、マンチェスター。
その近郊に人口3万人程度のちいさな町がある。
町の名は、Hyde(ハイド)。
イングランド6部リーグに所属するアマチュアフットボールクラブ
彼らが試合を行うスタジアムから、徒歩で約20分。
レンガ造りのフラットの一室で、
英語でいうところのオレンジ・キャット、つまりは茶色の猫だ。
この猫、オックスフォード出の母猫と生き別れ、ロンドン・
正式の名前はないが、飼い主であるきみには、敬意をこめて「
その隣で、きみは古いPCに向かっている。
チームの戦術について考えているのだ。
この夏に、ここハイドの監督に就任したばかり。
無職生活を脱して一息つく間もなく、
日本で生まれ育ち、数年前にイギリスにやってきた、きみ。
ハイドの監督職に応募するまで、チーム名はもちろん、
ではなぜ、あえてハイドを選んだのか。
ここで、猫さんが振りむいて、
ベイカー街で拾われた猫の多くがそうであるように、
「選んだわけじゃないんだにゃ。手あたり次第に履歴書を送って、
面接してくれたのはチェアマンのJoe Kitchen。くうっ、表情が読めない
気になる契約内容。1年間のパートタイム契約で、
プロ経験なし、ライセンスは一番下のランク。
「それにしても、お給料、安すぎじゃないかにゃ。
お金をがまんするかわりに――
この人、猫いっぴきちゃんと養えるのだろうか。心配じゃ」
そこまで話すと、猫さんはおおきなあくびをした。
いつのまにか、ブログの登場人物(?)の顔つきに戻っている。
その横で、チーム編成について頭を悩ます、きみ。
チームについて、戦術について、それはまた次回に。