猫街221b - Football Manager -

ゲーム、本、音楽や映画。そこに日常のささやかなできごとを絡め、物語仕立てに書いています。いまは「Football Manager」というゲームのプレイ日記が中心です。

愛が『あり!』なのです

夏の日の夕暮れ。
練習場のベンチに、猫さんが横たわっている。
夕陽を受け、きらきらと輝くオレンジ色の猫毛。
そのとなりで、「こわいのは嫁だけ、ふつうに猫と話します」に登場したトニーがもうれつな勢いでしゃべっている。

「なーに考えてんだ、あの新米監督は。このトニーさまを甘くみるんじゃねえぜ」
トニーは熱烈なハイドファンだ。ファンのまとめ役というほど人望はないのだが、少なくともそのおたくっぷりは有名である。
「次から次へと選手を獲得しやがって。スタッフにいたっては、ほぼ全員いれかえちまった。アシスタントマネージャーにオーウェン・ハーグリーヴス、フィットネスコーチにオデトインボ、ユース育成育成部長にダレン・バーナード。今日の発表では、フィジオにレベッカ・ブラウンさまが就任ときた。ハーグリーヴスは大物だよ。オデトインボの能力の高さもわかる。でも、レベッカ・ブラウンってだれ? どういう基準で選んだの? ルックス?  たしかに、バーナードは俳優のラッセル・クロウが高校教師だったらこんな感じだって顔だよ? レベッカも元気いっぱいの女子って感じで好感もてるよ? だけどさ、俺たち、フットボールチームなわけよ? 関係なくね? 顔とかルックスとかさ、関係な……」
トニーはそこで急に動きをとめた。
なにやら考え込んでいるようだ。

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うわさのレベッカ・ブラウンさん。『体の贈り物』読んでますよ!(違う)

ここで猫さんがすっくと立ち上がる。大きく伸びをして、スクリーン越しに読者を見つめ返す。
「解説しますです」
と猫さん。
フットボールマネージャーにおいては、わりとルックスが大事なのです。このゲームには、実在の選手やスタッフがとんでもない数――数十万人――実名で登場します。それぞれに、名前、顔、経歴、バイオグラフィー、能力値といったデータがあり、胸から上部を写した証明写真のような画像も「ついている人にはついてます」。
残念なことに、ゲーム購入時のデフォルトデータでは、よほどの有名選手、有名スタッフでなければ、写真はついてにゃい。その場合は黒いシルエットしか表示されないです。日本人でいうと、香川真司でさえ黒いシルエットです。
なので、ヘビーユーザーの多くは、sortitoutsiなどで、有志が制作したフェイスパックやロゴパックなどの私設データを導入しています。
ちなみに、あちきの飼い主が導入させてもらっているのは、フェイスパックとロゴパック(上記サイトより)、Jリーグデータ(Football Manager with Jさまのサイトより)です。製作者の方々には心から感謝です。みなさんのおかげで、より深く、Football Managerを楽しませてもらっていますです。この場を借りてお礼します。ありがとう!」

そう言って、猫さんはぺこりと頭を下げた。

「とはいえ、なんといっても数十万人。基本パックを導入しただけでは、顔写真がつかない人はたくさんいますです(基本パックだけでも7ギガくらいあるけにゃっ)。特に監督以外のスタッフで顔写真がついている人は、ものすごく貴重。女性で写真つきは奇跡といっていいでしょう。もちろん、顔写真なしでもゲームは問題なく進められるのだけど、やっぱり、あったほうが思い入れが出ると思います。というわけで、フットボールマネージャーにおいては、スタッフをルックスで雇うのは、ゲーム愛的に『あり!』なのです

猫さんがふたたび眠りに落ちるころ、我にかえったトニーが、今季の戦力解説をはじめようとしていた。