猫街221b - Football Manager -

ゲーム、本、音楽や映画。そこに日常のささやかなできごとを絡め、物語仕立てに書いています。いまは「Football Manager」というゲームのプレイ日記が中心です。

フットボール覆面座談会@ねこカフェ

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ロンドンのサウス・コウバーグ・スクエア。
そこからほど近い場所に、猫カフェ「猫毛連盟」はある。
おだやかな空気がながれるこのカフェに、きょうは3人の珍客がおとずれていた。
タイガーマスクフリーザさま、つば九郎である。

3人にやさしく話しかける、ひとりの日本人女性。
覆面座談会の司会をつとめる、スポーツライターの愛里だ。
3人組の正体は今シーズンの注目選手 2016-17に登場した記者たち。
みなさんご存じですかあ、と愛里はこころのなかでつぶやく。覆面座談会って、ほんとにフクメンしてくる必要ないんですよぉ。

ジョークがほかの誰かとかぶると、いたたまれないもの。
口調はやさしいけれど目はわらっていない愛里をまえに、3人はとてもとてもはずかしい想い。
覆面やらかぶりものやらをとって、「……って、おれだよおれ。ほんものだと思った? ウケルー」と言うタイミングはすでに逃している。
まっすぐ、じぃっと見つめる猫たちの視線もこころにイタイ。
まっさきに口をひらいたのは、ちんもくに耐えきれなかったフリーザさま(新聞記者)。
「わ、わた、わたしわたたたっ」
「おちつけ」とタイガーマスク(ラジオのレポーター)。「たのむからおちついてくれ」
「やばい」とつば九郎(雑誌記者)。「春のロンドンでこんな着ぐるみきてたらやばいって。あついよお」
「わたたたた。わたっ!」

きゅるきゅるきゅる。
早送り。はやおくり。

ではつぎに、と愛里。今季のクリスタルパレスはどうでした? とくに、かんとくが交代した後についてお聞かせください。

フリーザさま(以下フリ):わるくなかったと思いますよ。のこり7試合、リーグ12位の時点で就任して、最終的に12位。順位が変わってないじゃないかと思うかもしれませんが、フットボールの質は劇的に変わりましたよね。目標を見失い、混乱していたチームを、うまく立て直したと思います。わたしの戦闘力は50万です。
タイガーマスク(以下タイ):立て直した、は言いすぎだろ。でもダービーに勝ったのはおおきかった。ホーム最終戦は雨のなか2万人もはいったからな。君たちのように私のために泣いたり怒ったりしてくれるファンがあればこそ立ち直れたんだ。
つば九郎(以下つば):けっきょくその試合は負けちゃったけどね。シュート数25-6、ポゼッション率61%。めざしていたスタイルはできあがりつつあったんじゃない? ぼく的にはもうすこし続けさせてあげたかったな。みやもとさんのときもそうでしたが、これもまた、かないませんでした。
フリ:それ、好きなことばだから変に引用しないでくださいよ。というか、ふたりとも、まねしないでくれます?
タイ:まねてんのはそっちだろ。おれは覆面と引用のこと先週から考えてたんだよ。おれのほうがさきなんだよ。
つば:ぼくは先々週から考えてましたよ。ぼくが先です。
フリ:わたしは先月――。

きゅるっきゅるきゅるー。
早送り。はやおくり。

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リーグ最終節のウィガン戦。ふりしきる雨のなか、2万2000人のファンがかけつけた

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最終順位。12位で就任して、12位でフィニッシュ。成績は、2勝4分1敗

フリ:でもクビになったわけじゃないでしょう。契約延長のオファーがあったと聞きましたよ。
タイ:らしいな。でもことわった。公約(プレーオフ出場)をたっせいできなかったから、ってのが理由らしい。けど、おれはあやしいと思ってる。だってそんなのむりだって最初からわかっていただろうに。におうな。なにかあるぜ、これは。
つば:あ、それ? チャールトンのかんとくになりたいからやめたんだって。猫さんのブログに書いてあったけど。
フリ&タイ:それそんな簡単にばらしちゃっていいわけ!?

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クリスタルパレスが契約更新を申し出る」。ごめんにゃ。。。

観葉植物のかげ。
座談会の面々から見えない席で、きみは熱い紅茶を飲んでいる。
となりでは、猫さんがぱたぱとキーボードをたたいていた。
契約延長のはなしをもらったときはすなおにうれしかった。だれかに必要とされることがうれしくて、ただただ、ありがたかった。
でも、もううそはつけない。
チャールトンのかんとくになりたい。そしてチャールトンは、クリスタルパレスのライバルクラブなのだ。
ふたたび、無職。
就職活動のはじまりだ。

猫さんはそんなきみの顔を盗み見る。
PCの画面はふたつのニュースをつたえていた。
ひとつは、チャールトンのカランカ監督が契約を更新したこと。後半戦のもうれつな追い上げがアピールになったのだろう。みごとに降格圏を抜け出し、7位。2部の月間最優秀監督(4月)にも選ばれた。

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「カランカがチャールトンとの新契約にサイン」。年俸31万3000ユーロ(約4300万円)。2019年6月までの契約

そして、ふたつ目。
ハイドFCが降格。6部におちた。

座談会のこえがきこえてくる。
フリ:ケリーの移籍さき、決まったみたいですね。
タイ:「ぷんぷん病」で退団したサイドバックマーティン・ケリーね。チャールトンだろ。移籍金ゼロで。
つば:ひにくなもんだね。カランカの元でふっかつしたら、あのひと、立場ないし。

猫さんは思う。
きみにこのニュースをつたえるのは、じぶんでなければならない。
あの3人でも、愛里でも、インターネットのニュースでもなく。
良いニュースをつたえるなんて、かんたんなこと。ほかのだれにでもできる。わるいニュースだからこそ、じぶんがつたえたい。

そう。いまだ。
フクメン3人衆の話題にのぼるまえにつたえねば。
「にゃ……」
口をひらきかけたところで、店長のウィルスンさんのこえが響く。
「ねえ、みんなぁ。ちょっと手伝ってよぉ。きょうこそ銀行行かなきゃならないから、だれか倉庫で作業してぇ」
猫さんはすぐさま口を半開きにして、とおい目をする。
特殊能力「きこえないふり」発動である。
よこ目でそっと店のなかをうかがうと、ほかの猫たちもそろって「聞こえないふり」をしていた。

けっきょく、きみが作業を手伝わされましたとさ。
にゃにゃにゃっ。





(おまけだにゃ)
・2016-17 各国リーグ優勝チーム
プレミア……マンC MVPアザール(チェルシー)得点王スターリッジ(リバプール)
リーガ ……レアル MVPメッシ、得点王マンジェキッチ(アトレティコ・マドリード)
ブンデス……バイエルン MVPゲッツェ、得点王はキースリンク(レバークーゼン)
セリエA……ユベントス MVP/得点王テベス
ちなみに、テベスは3シーズン連続でMVP&得点王です。

・2016-17 チャンピオンズリーグ結果
グアルディオラ率いるバイエルンが優勝。決勝でマンチェスター・シティを1-0でくだしたです。
MVPはレアル・マドリードクリスティアーノ・ロナウド。得点王はユベントステベスでした。

・新かんとく就任ニュース
5位に終わったマンチェスター・ユナイテッドは、ローラン・ブランを招聘(シメオネを解雇)。
マンチェスター・シティペジェグリーニはプレミア優勝を置きみやげに引退。後任はフレン・ロペテギ(スペイン国籍、元ポルトのかんとく、50歳)。これは良い選択かも。
パリサンジェルマンモウリーニョミランドナドーニインテルはタタ・マルティーノ。ナポリモンテッラ
クリスタルパレスの後任はポール・ランバートに決まりました。

・資産価値ランキング
1位はアーセナル(*)で、その価値15億4000万ユーロ(約2080億円)。現実ではレアル・マドリードの資産価値が32億6000万ドルと言われているので、それとくらべるとだいぶすくない、のかにゃ? (*買収されて、リッチに。もちろんFootball Manager内の話です)

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