猫街221b - Football Manager -

ゲーム、本、音楽や映画。そこに日常のささやかなできごとを絡め、物語仕立てに書いています。いまは「Football Manager」というゲームのプレイ日記が中心です。

今シーズンの注目選手 2016-17

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ネス湖ネッシー
ロッキー山脈のビッグフット。
猫さんにとって、番記者はそんな未確認生物的なそんざいだった。
ここ、クリスタルパレスにくるまでは。

番記者とは、英語でいうところのビートライター。
特定のチームに密着して取材活動をおこなう記者のことである。
異動などで担当がかわるまで、アーセナルであればアーセナルバルセロナであればバルセロナ東京ヤクルトスワローズであれば東京ヤクルトスワローズを、ずうっと追いかける。
取材対象となるのは、人気とニュース性のある有名クラブ。
そのため、きほんてきにマイナースポーツに番記者はいない。英国フットボールにおいても、下位リーグで「1チームだけを担当する」番記者を見かけることはまずない。

いまクリスタルパレスをおとずれている3人の記者。
かれらも複数のチームをかけもちするタイプだが、猫さん的基準では「番記者度」はじゅうぶんに高い。
2部に低迷するクラブをよく追ってくれている。
6部や5部とくらべると、やはり注目度の高さをかんじる。

その3人がクラブハウスのロビーで猫さんをかこんでいる。
かこみ取材なのに、質問をしているのは猫さんだ。
3人の記者を見上げて、こうたずねる
それで、クリスタルパレスの注目選手はだれなんだにゃ。

「それをわたしらに聞きますか」と新聞記者。
「っていうか、おれらネッシーとかビッグフットと同類なわけ?」とラジオのレポーター。
「かこんでるんだけど、かこみ取材って気がしないなあ。イニエスタ対ディフェンス3枚みたいな。このスフィンクス座り、うでのカーブがたまらないよね」と雑誌記者。
あの、と猫さん。見上げるのつかれるから、いすのうえに乗せてくれるかな。そうそう。ありがとにゃ。どうもどうも。それで、あなたたちは、こう、しゃがんでくれると。そうそう、そんな感じで。
いすのうえでスフィンクス座りした猫さんを、ひざまずいた3人がとりかこむ。
練習を終えた選手たちがそのよこをとおりすぎる。「猫さまと3人の騎士」とつぶやきながら。

では、ひとりいっぴきずつ、注目選手をあげてくれにゃ。
まず顔をあげたのが新聞記者だった。「わたしはジェームズ・マッカーサーですね」

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ジェームズ・マッカーサー(James MacAarthur)
スコットランド代表のベテラン選手。クリスタルパレスのキャプテンで、セントラルミッドフィールダー
アシスタントマネージャーのキース・ミレンも、彼をチーム最高の選手と考えているようです。キースのレポートによれば、2部はもちろんプレミア(1部)レベルでもかなりのグッドプレイヤーです。プレーに安定感があり、プロ意識がたかく、チームのために闘える選手で、さらに大舞台にも強い。ファンにも心から愛されています。さらにですね、特殊能力として、「シンプルにショートパスをつなぐ」「試合のリズムをコントロールする」というシャビ的な能力があります。29歳でこれ以上の成長は望めないようですが、チームの柱になれる選手ですよ。

「おいおい」とラジオのレポーター。「あんたはBorek Dockalを忘れてるぜ!」
「だれですって?」と新聞記者。
「いや、おれ、発音できんのよ(笑)」
「ふふん」と雑誌記者。「UEFA公式の日本語版を信じるとすれば、ボジェク・ドチュカルだね」

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ボジェク・ドチュカル(Borek Dockal)
じゃあ、とりあえず、ボジェクで(笑)。え、取材してるのに発音もしらないのかって。バルサ番記者でもボヤンのことをボージャンと呼んでたやつもいるし、ボヤンも「ボージャンと呼ばれてもべつに気にならないよ」って言ってたし、こまかいことはいいんだよ。
で、こいつはチェコ代表のアタッカーで、右サイドを中心にトップ下もこなせるわけだが、見ろよこの能力の高さ! 能力値17(*能力値は20段階で20が最高)が、13コもある。とくに「クロス」「FK」「ミドル」「落ち着き」「集中」は17をこえてる! 「テクニック」と「パス」も16あるし、サイドからのゲームメイクも期待できる。
ボレ……ボジェ……とにかくキッカーはこいつできまりだ!

雑誌記者がにやりと笑う。「ふたりとも、だいじなひとを忘れてないかな?」
マンチェスター・シティからレンタルでとった、19歳のイヘアナチョですか?」と新聞記者。
「前回登場した、韓国のキム・ボギョンのことか? それとも中盤の実力者ジョニー・ウィリアムズ?」とラジオのレポーター。
「ノンノン」と雑誌記者。「まったくもう、わからないかなあ。副キャプテンであり、守備のかなめ。空中戦にめっぽうつよく、プレミアでもじゅうぶんに通用するセンターバック。しかも男前。その名もスコット――」

そのスコット・ダンが、3人といっぴきのすぐよこを、猛スピードで通りすぎる。
表情がけわしい。なにやら腹をたてているようだ。
向かうは監督室。
その場にいた全員が思った。
Football Managerめいぶつ、監督室どなりこみキター!」

ここは監督室。
きみのまえにはチームの副キャプテン、男前のスコット・ダン
スコットはきっぱりと言う。
「こんなことを言うのは心苦しいんだが、チームが降格してしまったからには、おれとしてはこうするほかない。ビッグクラブへの移籍を許可してくれ」
きみは考える。
きょうは練習初日。降格したのは1年前のこと。シーズンはあと2ヶ月で終わる。しかもこのひとほとんど初対面だよね!
というか、ビッグクラブからオファーなんてきてないヨ!

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きみはしかたなく答える。
正直に話してくれてありがとう。きみがそう考えるのもしかたないね。しかるべき額のオファーを出すチームがあらわれたら、きみを移籍させるよ。
スコット・ダンは男前の握手をもとめてくる。
「サンクス、ボス。ここですごした日々をたいせつに思うが、キャリアのあたらしいチャプターへと足を踏み出すのがたのしみでしかたないよ」

監督室を出ていくスコット・ダン
その男前の背中を見送りながら、きみは思う。
そういえば、今日、かこみ取材じゃなかったっけ?