猫街221b - Football Manager -

ゲーム、本、音楽や映画。そこに日常のささやかなできごとを絡め、物語仕立てに書いています。いまは「Football Manager」というゲームのプレイ日記が中心です。

大人になれよとだれもが言う

目指すべきサッカー、
思い描く理想のフットボール
それは新米監督のきみにもある。
問題は、強固でソリッドな、目の前の「現実」だ。

ハイドFCは6部リーグのアマチュアクラブである。
もちろん、予算も人員もぎりぎり。
まずいことに、この環境をありがたく思わなければならないほどきみの立場は弱い。
超がつくほど無名で、実績と呼べるものが何ひとつない、よそ者の外国人。
いまこの場で解雇されても、悲しむのも困るのもきみだけだ。6部で通用しなかった外国人監督として、厳しい就職活動が待ちうけている。

理想とか、夢とか、目標とか。
そういうあやふやなものはひとまず脇におくべきでは? この世界で認められるまで、ある程度の立場やポジションを獲得するまで、そつのないサッカーで手堅く戦うべきではないのか。

そんな迷いを、パコ・ヘメスの言葉がかき消す。

f:id:nekostreet221b:20150526181225j:plain

きみが猫さんの隣で読んでいるのは、日本のサッカー専門誌「欧州フットボール批評」。
グアルディオラが表紙になったその号に、パコ・ヘメスのインタビューが掲載されている。
パコは監督だ。
スペイン、リーガ・エスパニョーラ1部に所属するラージョ・バジェカーノというちいさなクラブを指揮している。
予算はリーグ最低レベル(1000万ユーロ弱)。毎年選手が10人以上入れ替わる環境の中、彼はどんな相手にも超攻撃サッカーをつらぬく。
過去数年の欧州主要リーグにおいて、ラージョのポゼッション率(ボール支配率)は、バルセロナバイエルンにつぐ数値。
バルセロナ以上にバルセロナらしい――。
そんな無謀なスタイルで、3年連続1部残留という偉業(?)をなしとげた。

なぜリスクのある攻撃的なスタイルを選ぶのか、という記者の質問に、パコはこう答える。

そういうフットボールを好んでいる。単純にそれだけだ。それは「なぜ青色を好むのか?」と質問するのと同じであり、「好きだから」としか答えようがなく、それ以上の説明などできやしない。私は攻撃的なフットボール、美しいパフォーマンスを愛している。それは私の心を打つものであり、だからこそ選手たちに対して、そうプレーしてくれと必死に訴えることができる。

いばらの道だとは思わないのですか、と記者は問う。監督はつねに解任の危機にさらされている。迷いはないのですか、と。

どのような道も簡単であるはずがない。ならば程度の差にかかわらず、自分の望む道を選ぶべきなんだ…(中略)…フットボールには魔法のような解決法が用意されているわけではない。だからこそ、自分の考えを貫き通すべきなんだ。自分の職を失うならば、『ああ、そうか』と受け入れるだけだよ。それは恥ずべきことではないし、私から誇りを奪うことには絶対にならない。

インタビューの締めくくり。
ディエゴ・シメオネは『アクション映画はカウンター、恋愛映画がポゼッションで、私はアクション映画を好む』と話していましたが」という質問に、笑いながらこう答える。

まあフットボールにおいては、恋愛映画を得意とするグアルディオラが、最も大きな成功をつかめているね。彼は美しい愛の物語を撮り続けることに執着し、多くの人々を魅了している。彼に比べたら自分は迷監督かもしれないが、誰よりも濃厚なロマンスを撮り続けていく覚悟だ。

そうなのかもしれない、ときみは思う。いや、そうなのだ。
どの道を選んでも、どれほど楽な道を選んだつもりでも、そこにはその人が耐えられる限界ぎりぎりの難しさが、さまざまな形で待ち受けているものだ。
だからこそ、人は本当に望むべき道を進むべきなのかもしれない。
周りの目を気にせず、周囲の評価に流されず、自分が納得できるやり方で、やりたいことをやろう。
それで職を失ったとしても――パコの言う通り――誇りまで失うわけじゃない。

こうして、良くも悪くも、きみは無謀な戦術に突き進んでいく。
詳しくはまた次回に。

f:id:nekostreet221b:20150526182631j:plain

影響受けやすいんだよにゃあ

f:id:nekostreet221b:20150526182728j:plain

偽の9番とかいるしにゃ

f:id:nekostreet221b:20150526182937j:plain

文字つぶれてしまっているかしらん